Travel Fund をつかって KubeCon EU 2026 に参加した

CNCF Dan Kohn Scholarship を利用して KubeCon + CloudNativeCon Europe 2026 に参加した

misc

去る2026年3月に、Travel Fund (CNCF Dan Kohn Scholarship) からサポートしてもらって KubeCon EU 2026 に参加してきたのでその備忘録。 どうもインターネット上には、KubeCon やその他 LFX/CNCF 関連のイベントに Travel Fund をつかって参加した記録や参加する方法があまりなさそうなので、この記事が役に立ってほしい。

技術的な話や recap は Kubernetes Meetup Tokyo #74 KubeCon Europe 2026 あたりですでに話されているので、応募〜採択のプロセスや現地の雰囲気を中心に書き残そうと思う。

発端

2025年末に Open Source Summit Japan に参加したときに logica0419 に、「学生のうちに KubeCon EU や NA のような大きなイベントに行ってみたい」という旨の話をしたところ、「KubeCon には Travel Fund という制度があるのでそれを使うと良い」と教えてもらった。

当時自分は大学院修士2年生で、4月からは就職することも決まっていたため、せっかくなら学生のうちに行ってみるかと思い、2026年3月の KubeCon EU をターゲットにして応募することにした。

KubeCon (や多分 Linux Foundation 系のイベント全般?)には Travel Fund という仕組みがあり、これはイベントに参加したいけど(主に金銭的な理由で)参加できない/難しい人々にそれらの全部あるいは一部をサポートしてくれる仕組み。

詳しいことは公式ページを確認してほしいが、概要はこんな感じ:

  • 航空券(エコノミー)運賃、イベント期間 & 前泊後泊のホテル宿泊費、(日本/現地での)空港への往復交通費を補助してくれる
  • 援助してほしい金額は応募時に書いて提出し、その一部あるいは全額が運営によって承認される
  • 資金の受け渡しは、経費精算システムを用いた払い戻し式

払い戻し式であることは重要な注意点で、サポートを受けられるとなったとしても、航空券やホテル代は一時的(数ヶ月間)は自分で立て替えておく必要がある。 日本から欧州や米国のイベントに参加する場合は航空券 + ホテル代 etc で数十万円程度のまとまった資金が必要になるので、もし応募しようとしているなら、その期間のキャッシュフローに注意する必要がある。

応募から採択まで

早速 Open Source Summit Japan のイベントから帰宅すると同時に、KubeCon EU の Travel Fund に応募した。このとき2025年12月上旬だったけど、すでに2026年3月下旬に開催される KubeCon EU への応募は始まっていた。締め切りや通知は2026年2月上旬だったので、開催の約1.5ヶ月前に最終的な援助対象者が決まるっぽい。

ちなみに応募するときには次のような内容を提出する必要がある:

  • いくらサポートしてほしいか (USD)
  • なぜサポートしてほしいのか / KubeCon に参加したいのか
  • Kubernetes/CNCF コミュニティでの貢献実績
  • (その他細々した情報)

いくら必要であるのかを見積もるのはなかなか難しい。ホテル代や細かい交通費は良いとして、航空券の運賃は4ヶ月前〜当日の間でかなり変動する上、応募から購入の期間が空いてしまうためである。

たしか応募時 (2025/12) に調べた情報で、NRT <> AMS の直行便 (KLM) が約2,700USD、乗り継ぎ便であればその約半分の値段から予約可能だった。 宿は会場から少し離れた3〜4つ星ホテルが130〜150USD/泊だったので、一旦2,500USDで見積もりを出して申請した。粗い内訳は以下の通り。

  • 航空券: 1,800USD
  • ホテル: 150USD * 4
  • その他/バッファー: 100USD
  • 合計: 2,500USD

応募時点では採択されるかどうかはわからないため、この時点ではキャンセル可能運賃、あるいは不採択時にキャンセル料を払うことを覚悟で予約することしかできない。 (あとは細かいことだけど、JPYベースで計算すると為替の影響を受けるのでUSD or EUR ですべて計算しておいた方が良いと思う)

予算の見積もりをしたら、「なぜ KubeCon に参加したいのか」「どのようなことをこれまでやってきたのか」などを書く必要がある。

自分の場合は主に以下の2つを書いた。

  1. Kubernetes/CNCF での OSSコントリビューションの実績
  2. CNCF Ambassador / メンテナとして世界中の人々とネットワーキングすることに(自分個人としてもコミュニティ全体としても)価値がある

もちろん、それらを示す客観的な資料があると良いので、ブログでもGitHub PR でも、何か用意しておくと良いと思う。

採択から当日まで

2月上旬に2,500USD 満額サポートを受け取れる採択通知が来た。当日までにやらないといけないことはホテル・航空券の予約と(あれば)ビザや各種入国システム(e.g., ESTA/ETIAS)への登録。 といっても日本国のパスポートを持っていれば KubeCon が開催されている国や地域の大半にはビザ無しで入国できる。ETIAS はいまだに導入開始が見送られているので、結局シェンゲン圏内にはビザ無しで入国できた。気をつけないといけないケースは多分これくらい。

  • インド(ビザが必要)
  • US (ESTA の申請)
  • EU (ETIAS 導入開始後)

この辺りは必要に応じて適宜ググると良いと思う。

航空券は、応募時から10〜20%程度値上がりしていたため、採択通知が来たらすぐにとった。個人的な嗜好は直行便/日系/星組だったけど、往復航空券には最大でも2,000USD程度しか捻出できなかったため、諸々を考えて香港乗り継ぎのキャセイ便を約1,800USDで予約した。詳細は以下:

往路

  • CX521 (NRT -> HKG)
  • CX271 (HKG -> AMS)

復路

  • CX270 (AMS -> HKG)
  • CX6322 (HKG -> NRT; JL運航)

ホテルは会場付近は高かった上にいろんな人と遭遇しそうだったので、会場から少し離れたホテルを150USD/泊で4泊予約した。

当日

0日目

NRT -> HKG -> AMS の移動。NRT を夕方に出て、AMS に翌日の朝につく。合計約17時間の移動(+トランジット2時間)で、諸々合わせるとちょうど24時間くらい移動していたことになる。

すごいつかれた

1日目(前夜祭; Co-located Event)

AMS についたのが朝の6時とかで、その1〜2時間後には入国手続きや両替などの諸々も完了した。その足で会場に向かい、そのまま Co-located Event に参加した。今振り返るとなかなかハードなスケジュールな気がする。 いわゆる ArgoCon とか CiliumCon とか、各種エコシステム・コミュニティが主催する Co-located Event がこの日に開催されている。

この日の大きな目的は Platform Engineering Day に参加して、主催の人々に Say hello することだった。というのも自分は Cloud Native Platform Engineering Japan の立ち上げ人の1人で、Platform Engineering Day はその Upstream が運営している(という理解であっているはずな)ので、色々と話したいことがあったから。

無事に、リーダーシップの人々とも会えて、いろいろな話ができたのでとても良かった。コミュニティをリードしている1人である Colin Griffin は来たる KubeCon Japan の Co-located Event (Platform Engineering session) でも登壇してくれることになったので、とても楽しみ。

午前中はそんな感じでふらふらして、そのまま Colin とランチを食べることになったところ、近くにいた Eddie Knight, Dylan Page も合流して一緒にご飯を食べた。初日からなんとも豪華なランチ会になったし、色々な話ができてとても良かった。

午後は ArgoCon などいくつか興味のあるセッションを少し聴いていたけど、48時間近くまともに睡眠が取れていなかった上に翌朝早くから予定があったので早めにホテルに帰って寝ることにした。予約したホテルではとても快適に過ごせた。

ホテルの部屋の様子

2日目(KubeCon 1日目)

KubeCon の初日は Ambassador breakfast というものが開催されがちで、これは CNCF Ambassador を対象にして、「朝食を食べながらネットワーキングしよう」みたいなイベント。最近は Kubestronaut (Kubernetes関連資格全取得者?)も対象になっているらしいので、Ambassador or Kubestronaut になるモチベーションの1つになっていそう。各地域ごとのテーブルが用意されていたので、アジアから来た人々と特に交流することができた。

Ambassador &#x26; Kubestronaut breakfast

ここで朝食を済ませたらその足でキーノート会場に向かった。圧巻の広さでかなり驚いた。

キーノート会場

FYI: 別日に人がいないときに撮った会場の写真

キーノート会場

キーノートに参加したあとは会場をふらふらしたり、いろいろな人とおしゃべりしていた。翌日の予定が詰まっていたので、この日のうちにスポンサーブースを回ったりもしていた。業務で使用している製品がいくつかあったり、生成AI周りで面白そうなツールなどもあったので、いろいろな話が聞けて良かった。

スポンサーブース

あとは会場が広すぎて終始圧倒されていたし、面白い仕掛けが各所にあって楽しかった。

会場マップ

ドーナツの壁

ランチ会場

そんな感じでイベントを楽しんでいたら夕方になっていたので、早めの夜ご飯を食べつつ宿に帰った。翌朝も早かったのでこの日も早めに寝た。

3日目(KubeCon 2日目)

この日は朝から晩まで予定がたっぷり入っていたので忙しかった。 まず早朝に Platform Coffee というイベントに参加した。これは、初日に Platform Engineering Day に参加したときに教えてもらったもので、Platform Engineering に関する議論をしながら朝食やコーヒーをとるイベント。

その後会場に向かい、午前中に知り合いのセッションが連続してあったので聴きにいった。

そのままの流れでランチをとったあと、午後はメンテナと交流するイベントなどがあったので、各SIGのメンテナと色々な話をした。

自分は KubeCon Japan 2026 での登壇が決まっていて、これは Maintainer Track としての登壇になっているんだけど、実はこの時に SIG-Docs のリーダーシップから「Maintainer Track として KubeCon Japan で登壇しない?」って声をかけてもらえた。KubeCon に行くと別の KubeCon の登壇機会がもらえるというなんともいい話である。

夜は KubeCon+CloudNativeCon 2026 EU 日本交流会 があったので一度宿に戻って少し作業をしつつ、会場に向かった。 日本交流会は、すでに大半が知り合いなので当初参加するか迷っていたけど、久々に会えた人も多かったし、あまりきちんと話したことがなかった人とも話せたので結果的にとても良い機会になった。 あとは Maintainer Track は誰かと登壇したいな〜と考えていたので、ちょうどその日に登壇を終えた & SIG-Docs にコントリビューションしてくれている Aoi san に一緒に登壇しないかとその場で声をかけて快諾していただけた。

なんだかんだでこの日は夜遅くまで飲み会していた気がする。

4日目(KubeCon 最終日)

前2日が早起きして7:00ごろからイベントに参加していた上、前日は夜遅くまでふらふらしていたので、この日は少しゆっくり目に起きて会場に10:00ごろに向かった。

連日人と交流しすぎて話し疲れた & 声もやや枯れていたため、数人と軽くおしゃべりしつつ、午前中に気になっているセッションをいくつか見て回る程度にとどめた。

そういえば市街地の方に全然行っていないなと思ったため、遅めの昼ごはんを探しつつ、午後はアムステルダム中心地 (Centrum / Binnenstad) の方面に向かい、散歩をした。

アムステルダム1 アムステルダム2

翌日のフライトは昼出発の便で、Schiphol はかなり混んでいると話を聞いていたので、この日も遅くならないうちにホテルに戻った。

5日目

この日は AMS -> HKG -> NRT と帰るだけなので特筆すべきこともない。やっぱり10時間越えのエコノミークラスはかなりしんどい。

無事に帰れて良かった。

帰国後

CNCF から経費精算システムのリンクなど諸々が送られてくるのでそれに従って進めればOK。自分はややトラブったので、少し時間がかかったけど、普通は2週間〜1ヶ月以内に精算されるはず。外為手数料が安い銀行(多くの場合ネット銀行)を用意しておきましょう。

感想・雑感など

まずはめちゃくちゃ楽しかったし、めちゃくちゃ良い経験になった。 書ききれなかったけど、そのほかにもめちゃくちゃ色々な人と話せたし、対面で初めて会う人もとても多かった。やっぱり対面で実際に会って熱量を持って交流できる機会というのはとても重要だと思うし、普段できないような雑談なんかもできたりする。中長期的にこうしていきたいみたいな抽象度の高い議論もこういう場で進むことが多いんだなって実感した。

あとは思ったよりも多くの人から認知してもらえていて嬉しかった。特に自分がアクティブに活動している領域では相手から話してもらえる機会が何度かあったので、GitHub / Slack / LinkedIn は本名実写アイコンにしておくべきだなと実感した。

自分も1〜2年に一回は参加したいし、興味がある人には積極的に参加を薦めようと思った。この手の仕組みを用意してくれているLFX/CNCF(やそれらへのスポンサーをしている各種組織・企業)にはとても感謝しているし、末長く続いてほしいと思う。

宣伝

来週から始まる KubeCon Japan では色々なところに出没する。KubeCon では SIG-Docs Japan community の話を、KubeAuto Day では仕事で取り組んでいる CI Platform の話をする。あとは Kubernetes Upstream Training や Platform Engineering Japan 周りのイベントにもなんらかの形で携わっているので、もし良かったらぜひ来てください。